2012年9月4日火曜日

映画祭の翻訳の話 6:意見の衝突


人が集まれば、意見はぶつかるものである。
翻訳は「答え」が1つに決まらないが
チームの答えは1つにしなくてはならない。

「僕」なのか「俺」なのか、
「母さん」と呼ばせるか「ママ」なのか。
特定の相手に対し、敬語を使わせるか否か。

これらに対し、公式な答えなどない。
誰もが自分の中に持っているものだ。
それが衝突する場合、どちらを優先するのか、
これをオンライン上で決着をつけるのは難しい。

特に文字数にも影響する場合は、
早い段階で決着をつけなくてはならない。
かといって、単純に、二者択一を多数決で決めてしまうのは、危険である。

なぜ自分がそう思うのか、その理由をお互いに交換しあわないと意味がない。
感覚的に、「いや、原音もママと聞こえるし、何となくママの方がいいんじゃないか」と思っても
それで相手は納得せず、意見はまとまらず、先に進まない。

こんな性格なので、母さんだ、という意見に反論するためには
いや、のちにこんな発言をし、こんな一面を持つ人なので、
ママが良いと思う、と論理で攻めないと負けてしまう。
(まぁ、勝ち負けの問題ではないのだが・・・)

決定的なセリフはどこだろう。
立ち止まって、いろいろ考える。
結果として、自分が直感的に支持した方に決定したとしても
時間をかけて、なぜそう思ったのかを突き詰め、言葉にすることで
しっかりした確信が持てるようになる。
人の意見で、はっと思うこともあった。

意見が分かれるのは、原文と向き合うチャンスだなと思った。

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