2012年9月2日日曜日

映画祭の翻訳の話 4:字幕に励まされる

第一稿までの作業期間は、ドキュメンタリー、ドラマともに1週間。
締め切り日は、3日ずれていた。
ドキュメンタリーの3日後、追いかけるようにドラマの提出日がやってくる。
ハコを切ったら、ドキュメンタリー153枚、ドラマは151枚。
 
字幕を数えるときは、一度に画面に表示するごとに“枚”と数える。
「なーんだ、それじゃ、400字詰め原稿用紙と比べたら、
たいしたことないじゃないか」と思うかもしれない。
でも、2秒程度で消えてしまう、たった1枚、8文字の言葉を出すのに、
背景を調べ、言葉を選び、文字数を合わせる。
そりゃア、しんどいのであります。

学校の授業では多くて大体80-100枚/5日間くらいだったか。
トライアルでは、70枚いかないほどだ。
その3倍強の量を目の前に、おなかが痛くなりそうだった。

そんな時、ドキュメンタリーの原文のくだりに励まされた。
難民となったエチオピア人が亡命先のセルビアで
自分自身について語るシーン。

We do not usually complain. It is partly in our culture. 

"僕たちには愚痴を
言わない文化がある"

We sometimes say ‘there is no problem’  even when we are facing some.

"苦しい時も“大丈夫”と
言って めげない"

  When there is no solution  to your problem, there is no point to complain.

"だって解決法がなけりゃ
不平を言ってもムダさ"

(ラン フォー ライフ ~セルビアのエチオピア人ランナー~ より)
http://unhcr.refugeefilm.org/2012/title/2012/08/post-48.php


ああ、どうしようなどと考えている時間はムダである。
解決法はない。
ただ書くのみ。
「大丈夫」と、ひたすら最後の1枚を目指した。

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