2013年10月20日日曜日

カウリスマキがスキ

映画監督アキ・カウリスマキの映画は
わっはっはと笑うというより
むふふと静かにこみ上げてくる笑いのコメディーである。

登場人物は全員、苦虫を噛んだような、しかめっ面の大真面目。
それがどうも滑稽で可笑しい。
軽いジャブなのに、なぜかノックアウトされるような気分になる。

劇中の人物は笑わないし、冗談も言わない。
そもそもセリフが少ない。下ネタもない。
それで人を笑わせるのだからすごい。

カウリスマキ映画の特徴を3つ上げるとしたら…
 
(1)貧しい食事 
しかも、まずそう。彼の映画の登場人物は庶民なのだが、
それにしても貧乏である。
日本におけるフィンランドのイメージと言えば、
「スタイリッシュで、センスがよくって、いい暮らし」だろうか。
それらをぶち壊しにする貧しさである。
 
バゲットなんて、カチカチに硬くて
いつも力いっぱい、引きちぎっている。
ナイフで切ってもなかなか切れない。
でも、お酒はいつもおいしそう。

リンゴのお酒、カルヴァドスを飲む2人 『ル・アーヴルの靴みがき』

(2)唐突なストーリー

 

話が早い。トントン拍子で物語が進む。
でも、「そんなアホな~」という展開って
実は潜在的に皆が望んでいることなのかもしれない。

『浮き雲』

(3)きれいな色

 

無表情の役者とは対照的に、画面の色はとても鮮やかでロマンチック。
ターゴイズブルーの壁に立つ男性。
カウリスマキ節が全開のシーン。

『ポルトガル、ここに誕生す』


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