2013年7月7日日曜日

コピーのコンペ

クラウドソーシングサイトでつながったアミターブさん(仮名)から
ぼちぼち翻訳の依頼がくる。

最初の2件は、FX関連の案件だった。
次の依頼までに、せめて本を読んでおこうと、図書館で本を借り、数冊読んだ。
よし、FX、どっからでも来いーや、と思っていたら、
靴の広告の翻訳依頼が来た。

山歩き用のトレッキングシューズ。
アメリカのブランドだった。
富士山が世界遺産登録だとか、
山ガール、だとか何とか、登山が流行っているけれど
私にとっては、圏外の分野。

でも、「やります」と答えた。

パワポだのイメージビデオだのいろいろ資料が送られてきた。
ブランドのイメージと雰囲気をコピーに反映させてほしい、とのこと。
英語独特の表現については、
自国の文化で馴染みの良い言葉に差し替えるなどして
忠実さより、雰囲気を重視するのがリクエストだった。

270ワードだから、あと7時間以内に納品よろしくネ、とある。

日中は会社勤めをしているので、夜しか作業時間がない。
実質的に使えるのは3時間程度だった。

ギリギリできるかなと甘く見ていたが、
蓋を開けてみて「だめだこりゃ」と、思った。

「ここは韻を踏んでるから、日本語でも言葉遊びしてね」
「ダブルミーニングだから、日本語でもそんな言葉がいいな」
「これは、こんな機能なんだけど、なんかいいネーミングがあったらつけて」
など、ハードルの高いリクエストが備考欄に色々書いてある。

広告のクリエイティブに使われるコピーは
単に日本語で読みやすければよいものではない。
厳密な文字数制限はないとはいえ、キャッチコピーとなる言葉は
それなりに、コンパクトにしなければいけない。
すっきり言い放ちインパクトを出したいものだ。

納期を伸ばしてくれなんて、言っちゃいけないだろうけれど
「あと1日ください」と懇願したら、すんなり「I understand :) 」と承諾してくれた。

どうやら、これは、コンペらしい。
「トップになれば、他にも依頼が来るプロジェクトだから、品質第一だよ。
がんばってね」と、アミターブさん。

韻は踏めなかったけど、それなりにコンパクトにおさめて
歯切れよくしたつもり。
言葉を足して、踏み込んでみたり、
「思い切って、こうしてしまえ」と、冒険をしてみたり。
広告のコピーの翻訳は楽しい。

面白いコピーはないだろうか。
それ以来、電車に乗れば中吊りが気になり、
駅のポスターに目がいく。

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