クラウドソーシングサイトでつながったアミターブさん(仮名)から
ぼちぼち翻訳の依頼がくる。
最初の2件は、FX関連の案件だった。
次の依頼までに、せめて本を読んでおこうと、図書館で本を借り、数冊読んだ。
よし、FX、どっからでも来いーや、と思っていたら、
靴の広告の翻訳依頼が来た。
山歩き用のトレッキングシューズ。
アメリカのブランドだった。
富士山が世界遺産登録だとか、
山ガール、だとか何とか、登山が流行っているけれど
私にとっては、圏外の分野。
でも、「やります」と答えた。
パワポだのイメージビデオだのいろいろ資料が送られてきた。
ブランドのイメージと雰囲気をコピーに反映させてほしい、とのこと。
英語独特の表現については、
自国の文化で馴染みの良い言葉に差し替えるなどして
忠実さより、雰囲気を重視するのがリクエストだった。
270ワードだから、あと7時間以内に納品よろしくネ、とある。
日中は会社勤めをしているので、夜しか作業時間がない。
実質的に使えるのは3時間程度だった。
ギリギリできるかなと甘く見ていたが、
蓋を開けてみて「だめだこりゃ」と、思った。
「ここは韻を踏んでるから、日本語でも言葉遊びしてね」
「ダブルミーニングだから、日本語でもそんな言葉がいいな」
「これは、こんな機能なんだけど、なんかいいネーミングがあったらつけて」
など、ハードルの高いリクエストが備考欄に色々書いてある。
広告のクリエイティブに使われるコピーは
単に日本語で読みやすければよいものではない。
厳密な文字数制限はないとはいえ、キャッチコピーとなる言葉は
それなりに、コンパクトにしなければいけない。
すっきり言い放ちインパクトを出したいものだ。
納期を伸ばしてくれなんて、言っちゃいけないだろうけれど
「あと1日ください」と懇願したら、すんなり「I understand :) 」と承諾してくれた。
どうやら、これは、コンペらしい。
「トップになれば、他にも依頼が来るプロジェクトだから、品質第一だよ。
がんばってね」と、アミターブさん。
韻は踏めなかったけど、それなりにコンパクトにおさめて
歯切れよくしたつもり。
言葉を足して、踏み込んでみたり、
「思い切って、こうしてしまえ」と、冒険をしてみたり。
広告のコピーの翻訳は楽しい。
面白いコピーはないだろうか。
それ以来、電車に乗れば中吊りが気になり、
駅のポスターに目がいく。
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