2009年7月28日火曜日

6: 翻訳会社のトライアル

翻訳会社の書類審査が通り、
一次試験を受けに来たら、
みんな普段着?!の続き。

トビラが開く。
男性と目が合う。

黒いシャツに黒いパンツ。
ドスのきいた視線に恰幅のよさ。
一瞬で社長だと思った。

「こんにちは!」と私は言うと、
こんにちはと感じよく返してくださった。
あ・いいひとだなと思った。


部屋に通され、PCの前に座る。

早速トライアル課題の指示がある。
ファイルを開けると、ディズニーのドキュメンタリーフィルムのベタ訳。

ナレーションは、格調高い雰囲気で、いささか大人向け、
アニメーションは子どもでもわかるように、
そして、歌の歌詞は生き生きと、リズムよく訳さなくてはならない。
アニメーション部分は、不思議の国のアリスだった。

難しかった。
自分の出来の悪さを痛感する。

でも、楽しい。
物語を訳すのってこんなに楽しかったっけ。

忘れていた。
私がやりたいことって、こういうことだったのに
何していたんだろう。
悔やまれて、泣きそうになった。

その後、アンケート用紙のようなものを渡される。

好きな映画とその理由、
人と変わった趣味、など100字程度で書いた。
家族について書く欄では、父について書いた。

別に仲が悪いわけじゃないが、あまり話をしたことがない。
父は自分のことをすすんで話す方ではなく
私に干渉することもない。
お互い照れくさいのか、人生の話などしたことはなかった。
しかし、私が東京に来てから、メールをするようになり
距離は離れたが、本当の距離は以前より近くなった気がする。

そういうようなことを書いているうちに、
すでに涙腺がゆるんだ私は泣けてきてしまった。

涙をおさえながら、他の項目も書き上げた。
 
変な人だと思われたかな。

つづく

0 件のコメント: