2013年5月29日水曜日

勝手にルビを振らないで

私はSST G1の100時間の期限付きバージョン「100h」を使っている。

100hユーザーは、ドングルをPCに差し、ソフトを起動している時間をできるだけ短くしようと、
まめにドングルを抜いていると思う。
私は、スポッティングが終わると、見直しリストをエクセルにエクスポートしている。
そして、字幕はそのエクセルを編集しながら考える。
書き終えると、ドングルを差して急いでSSTにインポートし、保存をしたらすぐにドングルを抜く。

100Hを使用している以上、エクセルとの連携が欠かせない。
しかし、SST G1はエクセルと互換性があると謳っているものの
カバーされていない点が2つある。

1つ目は、字幅カウントの警告が正しく表示されないことだ。
エクセル上で字幕を折り返すと、SSTでもきちんと改行されている。
字幅カウントの数字も正しい。

しかし、実際には改行として認識されてはおらず、
字幅オーバーを示す「!」のエラーメッセージが出る。
本当に字幅を超えていないかは、警告に頼らず数字をきちんと確認しないといけない。

原因は、SSTではウィンドウズの改行コードを使用しているが、
エクセルでは独自の改行コードを使っているから、らしい。
互換性の根本的な問題であり、対処のしようがない。

そして、2つ目が、本当に困った機能で、すべての漢字に勝手にルビを振ることである。

エクセルで入力し変換する漢字は、ルビデータを保存している。
表示上は、ルビを表示していない場合でも
そのルビデータがファイルに保存されている。
SSTは、おせっかいにもそのデータを読み込んでしまうのだ。

対処法としては、「入力して変換しない」ことである。
かといって、毎度、別ファイルに入力してコピペするわけにもいかない。
私は、次の方法を使っている。



1 ブランクのセルに、字幕を入力しているセルを参照させる。

2 参照させたセルをコピー

3 字幕を入力しているセルを選択し、貼り付け。「値と元の書式」を選択。
(2007以前のバージョンの場合は、「編集」⇒「形式を指定して貼り付け」から選択)


インポートする前に、一括で行えば簡単。

ルビデータが、入っているかどうかは、シート状では分からないが
関数を使えば検証することができる。

=PHONETIC(検証したいセル)と、関数を入れて、
漢字になっていれば、ルビを除去できている。



2013年5月27日月曜日

自己PRか…

OJT修了後に提出する自己PR書を書いている。

好きなものを聞かれた時って、急に出てこないものだなあと思う。
まとめるのは難しい。

きちんとした表記を覚えていなくて、本棚に目をやっては
その本を手に取り読み始めたりして中々進まない。
好きな人を挙げながら、芋づる式に思い出す。

好きなものは、羅列できるけれど
別に専門家ではないし、
自己PRというほどではない。

「がんばります」くらいしか言えないし、
それくらい誰にだって言える。
翻訳に結びつきそうな強みってないなあと思う。

帰国子女じゃないし、英語は流暢じゃないし
スクリプトがないと、よく分からん。
短大は英米語学科で、他の分野は修めていないし
他の言語はできない。
映像翻訳がやりたいと言っているけど、
観てきた映画は少ない方だと思う。
小説をたくさん読んでいる訳でもない。

OJTが終わったら、
私にも仕事するチャンスは来るのだろうか。

いいえ、来ないでしょう、と反語的に考えると暗くなるけれど
リストに挙げたようなことに関する仕事が来たら、
楽しいだろうなあと夢が膨らむ。

2013年5月25日土曜日

体調管理


会社勤めなら、病気になっても有給休暇を使って休むことができる。
私の場合など特に、1日くらい休んでも、さほど業務に支障がでることもなく、
どうしてもの時は、誰かがカバーをしてくれる。
しかし、フリーランスは、そういうわけにはいかない。
OJTで身に染みたのは、至極当たり前のことなのだが、
体調管理の大切さだった。

素材は、古代エジプトの話だった。
リサーチして、スポッティングをして、字幕を書きはじめた。

午後3時ごろめまいがしてきた。
30分ほど横になったが、回復せず、
オエー、オエー、ミイラの呪い~と、吐き気に襲われ、
床にへたりこみながら、原稿を読んでいた。

その日は、土曜日。私は平日は派遣で会社勤め。
作業期間で唯一の週末に作業が進まないと、まずい。
ただでさえ、訳すスピードに自信がないのに
体調が悪くて、余計に頭が回らず、先に進まない。
治らなかったどうしよう!
チームの締切に私の原稿だけ真っ白だったらどうしよう!
考えると焦る。

急がば回れ。思い切って数時間寝て、食事を抜くと、
夜には元気になった。
土曜の内に90枚の第1稿を書き上げる目標だったが、
結局30枚ほど次の日に回した。
ランナーを抱えるピッチャーって、こんな気持ちなのだろうかと思いながら寝た。

翻訳の期間は、興奮状態にあるせいか、
どうしても睡眠時間を削ってしまい、体に負担をかけがちである。
消化の悪そうなものは避けよう。

仕事を引き受けるようになったら、いや、そうでなくても
いつも健康でいなくちゃ。

2013年5月3日金曜日

英文チェックのサイト「Ginger」

イスラエルの企業、Ginger Softwareが英文チェッカー「Ginger」の日本語版をリリースした。
どんなもんだろうかと試してみたら、結構いい。
ワードについてる文法の指摘より精度が高くて、
前置詞やa/theの違いなど、「ああ、そうだよなあ」と思わされる。

Ginger
http://www.getginger.jp/

IT media ニュース
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1304/24/news120.html

2013年5月2日木曜日

現在に生きる


アマゾンの奥地に暮らす少数民族、ピダハンの言語には、
数や色、左右を示す言葉が無いと言う。
その言語を30年以上に渡り研究する言語学者ダニエル・L・エヴェレット。
彼が発表したピダハン語の特徴が、
言語学を始め、人類学、心理学の世界に波紋を呼ぶことに――。
ダニエルのフィールド調査の軌跡とピダハンの暮らしについてのドキュメンタリー。

元ネタは『The Grammar of Happiness』。
2012年のFIPA(TV番組の国際的なフェスティバル)でEuropean Jury Priseを受賞している。



ダニエルの目的は、もともとキリスト教の伝道師としてピダハンの村に入り
聖書をピダハン語に翻訳することだった。
そして、キリスト教の信仰を広めようとしていた。
しかし、ダニエルは、ピダハンと共に暮らすうちに、
信仰を広めるどころか、信仰を失ってしまう。

伝道師を無神論者にしてしまったピダハンって
どんな文化なの?
ダニエルの書籍を読んでみることにした。


皆同じようなことを考えるのか、図書館で予約をしたら、8人待ち!
12月に予約をしたのだが、4月にやっと順番が回ってきた。

ピダハンの文化では、直接的な体験だけが重視される。
人々は、目に見えるものを信じる。
他人から聞いた話を信じることもあるが、
その人が「直に」体験した話に限る。
その影響か、ピダハン語には、未来形や過去形にあたる形がほとんど見られないという。
直接的な体験を重視する文化が、現在形に表れている。

「過去」を思い患うことも「未来」を憂うこともなく、充実した「現在」を生きている
NHK 番組紹介より

驚くことに、ピダハン語には「心配する」に対応する言葉がないのだという。
振り返ると、私は心配してばかりである。
遠い将来も近い未来も。
この先、翻訳の仕事していけるんかな。
年取ったら、どうやって暮らすんだろう。
それはそうと、来月家賃払えるかな、など。

私は、いろんな情報に触れることや、視野を広げること
探究心を持つことに、前向きなイメージを抱いている。

ピダハンは、その対極にあると言っていい。
“現在”だけを見ている。そして、自分たちに有用で実用的な範囲に焦点を絞っている。
深遠なる真実や未知のすべてを解明しようとは思わない。
まるで、ネガティブに聞こえてしまう。
でも、この文化のもと、子どもから大人まで、幸せな暮らしをしている社会が長い間続いているのだ。
それは、彼らの考え方がすぐれていることの何よりの証拠である。

後悔の念に苛まれ、将来が不安で絶望的な時には、
ピダハンのことを思い出そう。
自分の視界がクリアな範囲だけにピントを合わせたら、
大切な現在を無駄にせずに済むかもしれない。