2013年2月27日水曜日

ボールの行方

映像翻訳を学ぶ通信講座の添削の仕事を頂いた。

初めて字幕を学ぶ人のための講座で基礎的な内容である。
原稿を添削し、コメントを書き、
何段階かで評価をする。

ルールなどは、すでに学んだ内容なので、受講生よりも、前を歩いているかもしれない。
だとしても、私が他人の原稿にコメントして、おまけに評価するなんて、
「あんたにとやかく言われとうないわ!」って声が聞こえてきそう…
二つ返事で引き受けたものの、ずしりと荷が重くなってきた。

こういうのは、バッティングセンターと似ている。
バッターが構えているかどうか、なんてお構いましに
ボールは一定の間隔で、ばしばしと飛んでくる。
ひええ、こんなの打てないよと、ネット越しに見ていたけれど
いざ、バッターボックスに入れば
ホームラン打ったるけえの、たま投げてこいいや!おう!と構えるものだ。

字幕がNGの場合、私は何がいけないのかを知りたいので、
その理由を書き、前向きなコメントでしめるよう心掛けた。

添削ってしんどいわ。こんなに大変だったとは。
受講生の方に負けないよう、がんばろう。

できる限り、芯に当たるように打ち返したつもりだ。

ただ、その球の行方は見えないのが心配である。
 

2013年2月16日土曜日

ポキっと折る、あれのこと

 


グラフィックアーティストのVahram Muratyanのブログが書籍になった
"Paris versus New York"。

パリに生まれ、ニューヨークにインスピレーションを受けたデザイナーが
2つの都市をいろんな切り口でつきあわせていく楽しい本。
色のトーンが見ていて気持ちよく、絵はすっきり、シンプル。
着眼点が面白いなあと思う。

ジャン=リュック・ゴダール と ウディ・アレン
2月に日本語版が出版される。

原書の副題は、
"A tally of two cities"。

Tally とは、「割り符/合い札」の意味である。

割り符

「借金や支払の額が示す刻みのついた棒で、それを縦に二つに割ってそれぞれが所有し,後日の証拠とした」らしい。

ばきばきばき・・・
日本は室町時代に明と、この勘合貿易をしていた。
って、日本史で習ったかなあ。まったく思い出せない。


似ているけれど異なる2つの要素を集めた本として、
「割り符」を出すのは、言い得て妙である。
表紙もまさに、そんな意味を込められている。

しかし、いくら、原文に忠実にすべしといえ、
パリとニューヨークの組み合わせで、あの表紙である。
日本史の教科書に出てきそうな「割り符」と出されると、
急に、ずっこけてしまう。

さて、日本版では、どうなったかなと思ったら…

小さくてすいません


“二つの都市のヴィジュアル・マッチ”

ただ、これは、「Tally」から「ヴィジュアル・マッチ」を導き出したわけではない。
本の裏に書いてある著者の言葉"A friendly visual match between two cities…"を副題に持ってきているのだ。実はtallyが単に訳出されていないだけであった。

tallyがどんな言葉になるか、楽しみにしていたので、
ちょっとがっかり、でも、納得であった。

ヴァラム・ミュラティアンのブログ
http://parisvsnyc.blogspot.jp/

ジャン=リュック・ゴダールとウディ・アレン」のページ
http://parisvsnyc.blogspot.jp/2010/10/le-realisateur.html


ここから、英語に関係のない、おまけの話

2013年2月15日金曜日

「必ず」

She'll be back.
戻ってくるわ

--- ポーズ ---

Trust me.
必ず

「ダメージ」 シーズン2の最後のシーン

「Trust me」は直訳すると「私を信じて」であるが、
話者が確信している気持ちがセリフになると、
おお、こうなるなあと思った字幕。


2013年2月13日水曜日

金原瑞人のトークイベント

『ピノキオの冒険』で挿絵を描いたインノチェンティの新作『ガール・イン・レッド』が刊行される。
翻訳は金原瑞人。

それを記念して、トークショーがある。

 「金原瑞人、初めて絵本の翻訳を語る」

ジュンク堂書店池袋本店
2013年2月16日(土)19時30分 ~
http://www.junkudo.co.jp/tenpo/evtalk.html#20130216_talk

オリオン書房ノルテ店(立川)
2013年3月3日(日)15時00分 ~
http://www.orionshobo.com/event/page969.html


お話、楽しみ。

「ピノキオの冒険」は新装版となって出版されるらしい。

版元の西村書店では、特に記載はないが、
オリオン書房のHPでは2月末、紀伊國屋WEBでは3月に発売とある。

とてもうれしい。
これからも版を重ねてほしい。

2013年2月6日水曜日

また会う日まで

名古屋にいたころ勤務していた会社の社長からメールをいただいた。

後輩が退職するという。
送別会のお誘いだった。
木曜日だけど、もし、サプライズゲストとして、名古屋まで来てくれたらうれしい、と。

一夜の飲み会のために、東京-名古屋を往復するかなあと迷った。
でも、会社のみなさんだけでなく、お世話になった取引先の方々にも会える、めったにない機会である。

ここで断ったら女がすたるぜ、と送別会の当日は会社を早退し、その足で名古屋へ。
翌日は年休をとり、愛知の実家で過ごすことにした。
盆と正月以外にも、たまには帰るか。

退職する後輩は、入社時22歳だった。
私が教育係だった。
「入ったばっかりの時、僕、めっちゃ怒られましたよね」と彼は笑ってた。
「え、そうだっけ?」
怒った方は、覚えていないものである。
冗談を言いあっていたことばかりを思い出す。

私は、会社の皆さんに映像翻訳の勉強をしていること、
去年の夏に、映画祭で字幕を書いたことなどを話した。

でも、その後は浮いた話がないんだな。
“目指しています”から一歩進んで、何らかの成果を報告できるようになりたいものだ。

懐かしい人に会うと、刺激を受ける。
それが、別の目標を持っている人であっても。

また会う日までに、もっと成長していなくちゃと思う。