2013年3月28日木曜日

脚本家の風邪

「仁義なき戦い」 シリーズが面白い。
監督は深作欣二。

    仁義なき戦い(1973年)
    仁義なき戦い 広島死闘篇(1973年)
    仁義なき戦い 代理戦争(1973年)
    仁義なき戦い 頂上作戦(1974年)
    仁義なき戦い 完結篇(1974年)

戦後の混沌とした広島から物語が始まる。
実際のやくざの抗争をもとにした実録映画。

群像劇であり、キラキラ輝くヒーローはいない。
主演の菅原文太を食ってやると言わんばかりの
強烈なキャラクターばかりで面白い。
小林旭(代理戦争~完結編)がこれほどかっこいいとは思わなかった。



決して暴力をスタイリッシュに映像化し、ヤクザの世界を美化している映画ではない。
ぐちゃぐちゃにもみ合う喧嘩シーンの後に
むなしさが漂う映画である。
「もうわしらの時代は終いで。
  口が肥えてきちょって、こう寒さが堪えるようになってはのぅ」
私は、ヤクザは好きではない。
でも、なぜか、このシリーズに魅せられている。

何がいいんだろう?
そうだ、脚本の面白さが、そうさせるのかもしれない。
そう思って、脚本家 笠原和夫の本を読んだ。


「破滅の美学」(ちくま文庫)

取材で集めたエピソードや仕事への思いなどが詰まっている。

あとがきに、こうあった。
率直に言って、わたしはヤクザは嫌いである。
しかし、個々人で見ると、どうしてあの人たちはあんなに魅力があるのだろう。

シリーズを見終えた後、
まさに私も同じようなことをぼんやり考えていた。

本を読んでも、「何がいいんだろう?」の答えは、結局よくわからない。
でも、脚本家が引いた“風邪”が、私にうつったんだな、ということが分かった。

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