2013年7月17日水曜日

6年前のブックマーク


オンラインのメモを整理していたら、2007年のニューヨークタイムズの記事があった。
タイトルは、"Collect-me-nots" (集めないでほしいもの)。


こんな衝撃的なセンテンスで始まる。
The owner of Napoleon’s penis died last Thursday in Englewood, N.J.---

先週の木曜日、ニュージャージー州イングルウッドで
ナポレオンのペニスの所有者が死亡した。
ぎゃー!保存していたってこと?と
びっくりして、クリップしていたのだろう。

その所有者はコロンビア大学の教授。
偉人の遺品のコレクターで
リンカーンの血が付いた襟や
ナチス党の実力者ゲーリングがシアン化合物で自殺を図った時の薬物入れなど、
「それ、欲しいか?」と思うような軍事関連のものを集めている。

そして、こんなセンテンスが続く。
But the penis, which supposedly had been severed by a priest who administered last rites to Napoleon and overstepped clerical boundaries, stood out (sorry) from the professor’s collection of medieval armor, Civil War rifles and Hitler drawings.

ナポレオンの葬儀を執り行った司祭がその権限を越えて
ペニスを切除したものとされている。
中世の甲冑や南北戦争で使われたライフル銃、
ヒトラーのスケッチなど、教授のコレクションの中でも、
このペニスは際“立って”いた。
(失礼)
うっかり変なところで反応してしまい、笑ってしまった。
大文字で「STOOD」とせず、
(sorry)と控えめな点に親しみを感じる。 

2013年7月14日日曜日

自分だけの方法

今、活躍している方々が「どうやって翻訳者になったのか?」あるいは
「どうやって最初の仕事を受注したのか」は、翻訳者を目指す人にとっては、
気になるところだ。
雑誌やらウェブのインタビュー記事でよく見かける。

私は、この類の記事にあまり共感したことがない。
雲の上にある、手の届かない世界のように思えてしまう。

経歴が超エリート、とか
理系の難しい専門分野を持っている、とか
コンクールで1位になって仕事をもらった、とか。

おまけに、そんなできる人が、
 「私なんて、勉強不足です」などと、謙遜でしめる。

ああ、あなたのような方が「まだまだ」なら
私のことは一体どう表現したらよいのだろうか。
翻訳を仕事にするなんて、一生無理なのではないかと悲観してしまう。

かといって、「全然勉強なんてしていなくて、偶然そうなってしまった」という記事も
身近に感じられない。

例えば、配給会社に翻訳がしたいと電話したら、
明日から来いと言われて、
たまたま有名な翻訳家の元、アルバイトで働くことになったとか、
映画の配給会社に入社したら、たまたま字幕制作室付きになったとか。

第一線で活躍する人が駆け出しだったころと
今では環境が違いすぎる。
他人のケースは、あくまでも単なる「参考」でしかない。

私は、雑誌の記事なるような、きらびやかな要素を持ち合わせていない。
でも、きっとどこかに、自分だけの(おそらく地味な)方法があるはずだと
信じている。

2013年7月13日土曜日

最初の仕事

修了生向けのトライアルに合格して、OJT(模擬発注)が終わり、
学校に付属しているエージェントに登録されることになった。
その後、声が掛かるのを待っていた。

「最初の仕事」って、みんなどうやって掴んだのかな。
私はどうしたらいいのかな。

もやもやしながら、クラウドソーシングのウェブサイトで
翻訳をしたり、応募したりした。
学校付属のエージェントからは音沙汰がないまま、
むなしく1か月以上が過ぎた。

そんな頃、基礎クラスで一緒だった方と食事をした。
彼女は期を開けずに受講し、トライアルも一発で合格し
今はフリーで仕事をしている。

私は、仕事が来ない、もう来ない気がすると言った。
彼女は、最初の依頼が来ないことはないはず、大丈夫、と励ましてくれた。
でも、もし3か月待っても何もなかったら
連絡してみてはどうか、とアドバイスをくれた。

気が楽になった。 
そうだ、3か月たったら考えよう。
気長に待つことにした。
前向きな気持ちになれた。その3日後のこと。

いつものように、会社から家に帰ると
7時ごろ、携帯電話にエージェントからの不在着信。
折り返すと、仕事の依頼だった。
尺は6分。ショートムビー。

ほされていた訳ではなかったんだ。
うれしかった。

納期は、私の誕生日の1日前だった。

映像翻訳と出会ったきっかけは、2009年の7月の誕生日。
あの日から、最初の仕事をもらうまで4年かかった。
長かったな。
やっとスタートラインに立てた気がする。

2013年7月7日日曜日

コピーのコンペ

クラウドソーシングサイトでつながったアミターブさん(仮名)から
ぼちぼち翻訳の依頼がくる。

最初の2件は、FX関連の案件だった。
次の依頼までに、せめて本を読んでおこうと、図書館で本を借り、数冊読んだ。
よし、FX、どっからでも来いーや、と思っていたら、
靴の広告の翻訳依頼が来た。

山歩き用のトレッキングシューズ。
アメリカのブランドだった。
富士山が世界遺産登録だとか、
山ガール、だとか何とか、登山が流行っているけれど
私にとっては、圏外の分野。

でも、「やります」と答えた。

パワポだのイメージビデオだのいろいろ資料が送られてきた。
ブランドのイメージと雰囲気をコピーに反映させてほしい、とのこと。
英語独特の表現については、
自国の文化で馴染みの良い言葉に差し替えるなどして
忠実さより、雰囲気を重視するのがリクエストだった。

270ワードだから、あと7時間以内に納品よろしくネ、とある。

日中は会社勤めをしているので、夜しか作業時間がない。
実質的に使えるのは3時間程度だった。

ギリギリできるかなと甘く見ていたが、
蓋を開けてみて「だめだこりゃ」と、思った。

「ここは韻を踏んでるから、日本語でも言葉遊びしてね」
「ダブルミーニングだから、日本語でもそんな言葉がいいな」
「これは、こんな機能なんだけど、なんかいいネーミングがあったらつけて」
など、ハードルの高いリクエストが備考欄に色々書いてある。

広告のクリエイティブに使われるコピーは
単に日本語で読みやすければよいものではない。
厳密な文字数制限はないとはいえ、キャッチコピーとなる言葉は
それなりに、コンパクトにしなければいけない。
すっきり言い放ちインパクトを出したいものだ。

納期を伸ばしてくれなんて、言っちゃいけないだろうけれど
「あと1日ください」と懇願したら、すんなり「I understand :) 」と承諾してくれた。

どうやら、これは、コンペらしい。
「トップになれば、他にも依頼が来るプロジェクトだから、品質第一だよ。
がんばってね」と、アミターブさん。

韻は踏めなかったけど、それなりにコンパクトにおさめて
歯切れよくしたつもり。
言葉を足して、踏み込んでみたり、
「思い切って、こうしてしまえ」と、冒険をしてみたり。
広告のコピーの翻訳は楽しい。

面白いコピーはないだろうか。
それ以来、電車に乗れば中吊りが気になり、
駅のポスターに目がいく。

2013年6月23日日曜日

フルーツバスケット!

東京国際レズビアン&ゲイ映画祭が、今年は7月だったとは知らなかった。

昨年、一昨年と秋だったので、今年も9月あたりかなと思っていた。
逆算すると、7月あたりに字幕制作メンバーの募集があるのでは?と待っていたのに。。。

映画祭のメンバーは、都度トライアルで募っていた。
しかし、今年はそれがなかった。
登録している翻訳者が多くて、飽和状態なのかなと思う。

これは、私が通った学校だけの話だ。
業界全体としては、どうだかわからない。
まあ、景気がよいという話は聞かないが。

2010年以前は、トライアルの合格者は毎回2、3人だったように思う。
ここ2、3年で、急に人数が増えた。
2010-2011年は5,6人になり、2012年あたりから毎回10人くらいが合格していると思う。
 
今の登録翻訳者の増加と同じ伸び率で仕事が増えていく、あるいは、
翻訳者がバタバタと倒れるなどして、人手不足にならない限り
シモジモの私のところまで仕事は回ってこない。

「フルーツバスケット」というゲームがある。
「今日、歯を磨かなかった人!」と言われたら、
当てはまる人は、席を立ち、他に空いている椅子に座るゲーム。

私は、傍から、ただその様子を見ているだけのように思う。
参加できずに。

このゲームの中で掛け声を発する人が、「フルーツバスケット!」と言えば、
全員が席を移動しなくてはならない。

今の翻訳のセンターでも、この「フルーツバスケット!」の大移動が起きればよいのに。
その混乱の隙に、こっそり紛れてゲームに参加するしかないような気がする。

このまま自分が「塩漬け」になっていくのが怖い。