2013年9月12日木曜日

漫画「アンカル」



SF長編漫画『アンカル』が面白い。
原作は映画監督 アレハンドロ・ホドロフスキー。
画を担当したのは、メビウスのペンネームで知られる、フランスの漫画家ジャン・ジロー。

本国では1981年に第1巻が発売された。
日本語版は遅れること5年、1986年に講談社が1巻を出版。

原作は1988年に第5巻で完結したのだが、
何があったのか、2巻以降が翻訳されることはなく、物語は未訳のまま時が過ぎた。

2010年、ついに小学館から日本語の完訳版が出版された。
やっと日本の読者に届いた物語は、30年前に書かれた「未来」の話。
2013年に読んでも、古くささは感じられず
時の洗礼にも耐えうる面白さがある。

何より画が素晴らしい。
メビウスの画は、飛んでいる、あるいは
ふわっと浮いている画が気持ちいい。

メビウスのウェブサイト
http://www.moebius.fr/

2013年9月11日水曜日

ゆるゆるの日々

8月末に映画祭の字幕制作が終わった。
その後、オーディションに1本応募して落選してからは
気楽に過ごしている。

美術館に行ったり、漫画やエッセイを読んだり
ドラマや映画を見たり。

翻訳で追われていた8月半ばには
こんな享楽的な過ごし方を待ち望んでいたはずなのに
それだけの日々には、もう飽きてきたわ。

翻訳の仕事来たらいいなあ。
次にお声がかかるのは、どれくらい先になるのだろうか。

それまではドラマのスクリプトでも読んで字幕を観察をしていよう。

2013年9月3日火曜日

血まみれの原稿


映画祭の字幕制作では、翻訳者同士で訳文を交換しレビューし合った。
それを、担当ディレクターがチェックし、
映画祭事務局が表現の最終判断をする。

それぞれの関門で
ぐさぐさと刺さるように指摘されて、
私の原稿は、もう血まみれであった。

意図が掴めない旨のコメントには反省した。

誰にも何も言わせない字幕を
書けるようになりたい。

2013年9月1日日曜日

食べ物とイメージ


男友達とアイスクリームの話になった。

私は、ベートーベンと3時のおやつに
アイスクリームを食べたことを話した。
すると、彼が言う。
「何食べた?」
「ピノだよ」

「何それ」と彼は意味深な視線を投げる。
「はあ?何が?」

「それは、かわいさアピールか?」
「はいっ?何で?ピノが好きなだけだよ」
私は笑った。

「ね、ピノってかわいいの?脂肪分が高いから?」
「いや、そういうことじゃない」

彼曰く――

例えば、レモンサクレは一見さわやかそうだけど、
木のスプーンで、力入れてガリガリっと突くのは
色気がない。
レモンのやり場に困る














 
 モナカ系は洗練さに欠ける。

チョコが入っているのが好き















 あずきバーは老けて見える。

25過ぎてから好きになったわ















そこへいくと、ピノなんてのは、
スティックでぷすっと指して、
ひと口でパクっと口に含み、
片側のほっぺが膨らんでいるのがカワイイのだと言う。

種別が「アイスクリーム」

そんなこと考えたことなかったわ。
でも、物語を訳す時には、この発想は大事だ。
登場人物のキャラクターやイメージって
こういう小さな演出の積み重ねで作り上げられる。



「ふーん。じゃ、一番エロいアイスって何?」
「そりゃ、もう、あれだ。昔、懐かしい丸棒のアイスキャンディー。
 ミルクがいいね。あれを、こう…」




「わはは、もう、バカ!やらなくていいってば!」
と、彼の腕をはたいた。

男の人は想像力が豊かですな。