2012年8月30日木曜日

映画祭の翻訳の話 2:マネで乗り切る


映画祭の字幕制作は、チームで行われた。
ドキュメンタリーは7人体制、ドラマは5人体制だった。

私は、字幕の仕事は今回が初めてだ。
それなのに、ドラマの翻訳でチームリーダーの役割を頼まれた。

リーダーは、担当ディレクターとの連絡係とファイルのとりまとめなど
翻訳以外の雑多なことをこなくてはならないらしい。

不安で押しつぶされそうだった。
でも、来るものは拒まない。
頼まれるということは、多分できるということだ。

同時進行している、ドキュメンタリーのリーダーを
お手本にした。

メーリングリストを作り、
作業ファイルは、コピーしてグーグルドライブ上に上げ、
みんなに招待メールを送る。

そして、分担を決め、説明会の日に紙で配布した。

お手本のリーダーの方が、
「自分の訳文は棚に上げて、コメントは率直な意見を交換しましょう。
何を言われても恨みっこなしです。すべては、いいものを作るためです」
という内容のメールを書いた。
なるほど、と思い、私もお互いのレビューをする直前に、
そんな文面を書いた。

表記の揺れの統一の音頭をとっていたので、私もそうした。

リーダー選びが立候補制だったら、私は絶対に手を挙げなかったと思う。
やったことがないからと、尻込みしていては
いつまでたってもできない。
一歩先に進んでいる人を真似して、自分も一歩進めばよいだけのことだ。

やったことがないから、やってみる。
今回は良い経験だった。

2012年8月26日日曜日

映画祭の翻訳の話 1:昨日もそう思った

映画祭の字幕制作メンバーのトライアルを2つ受けた。

このトライアルの応募はタダだった。
まだどこにもたどり着けていない私は
受けられるものは、受けておこうと
応募までのことしか考えていなかった。

どちらも合格の通知が来た。
トライアルは同時期にあり、説明会もごく近い日時。
結果が出るまで、スケジュールが重なることなど頭になかった。
記念すべき初仕事に手が届き喜んだのもつかの間
2つもこなせるのだろうかと不安に襲われ憂鬱になった。

作業環境が整わないまま、掛け持ちで作業をすすめなくてはならず
気持ちはますます焦る。
まずはSSTを買わなくてはいけない。
顔合わせの説明会の帰りに、ソフトを注文した。
てっきりすぐ手に入るものだと思っていたのが甘かった。
その日は、金曜日。
週明の月曜に、注文を入れ、到着は最短で火曜だと聞いた。

チームメンバーは取り掛かっているのに、
私は、週末を含めて4日間ハコも切れない。
映像とスクリプトが配布され、第1稿は1週間後が締め切りだ。
とりあえず、フリーソフトで大体のタイムコードを出して、
訳文を考え始めることにした。

ああ、合格と聞いたその日に、購入をしていれば
時間のロスはなかったはずだし、
ソフトに慣れておくこともできたのにと悔やんだ。

いや、学校の区切りがついた時点で購入し、
ソフトの使い方で困ることのないよう備えておけばよかった。

2007年のNikeのコピーが、ぐさりと胸に刺さった。